10月学習会「 10より大きい数」を振り返って(豊中)

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先人の知恵を追体験させる

小学校では先人の知恵を追体験させたい。今回の授業で言えば、「記数法と命数法の発明」である。
大昔は物の数と小石を対応させていた。それでは「手間がかかる」という発想から「印をつける」といった具合に表現が工夫されてきた。十進数自体は早い時期から考えられていたという。特に中国による「二十三」という表記の仕方は既に「10が2つ」といった乗法的な見方が働いている。インドによる「23」という表記の仕方は「0~9」までの10種類の記号で全ての数を表現することができる画期的な物である。こうした、数が生まれてきた歴史を教師が知っていること、そしてそれを児童に追体験させられるようにしておくことが大切である。

今回の提案でやりたかったこと

今回の提案では「具体物」「記数法」「命数法」といった3つを行き来しながら、「数の表し方の本質に迫る」ということをやりたかった。
こうした授業を行うためには「児童がどんな経験をもっているか」ということを考えることが大切である。生活経験から児童は20くらいまでを唱えることができる。しかし、唱えられるだけで「数の表し方」については無自覚的でいる児童が多いのが実態である。そこで、具体物、数字、数詞を並べていく。児童からは様々な気付きがつぶやかれることだろう。「10以降は繰り返されている」「言葉でも同じだ」こうした児童の気付きから学びを作っていくことで、より質の高い学びを描くことができる。

数学的表現を行き来する

授業内で具体物、言葉、図、式といった様々な数学的表現を扱うだけでは不十分である。「『10に束が2つ』というのは図でいうとどこのことなのか」「数字でいうとどこなのか」、それらを行き来することで、理解が深まる。また、それらを子供たち同士で伝え合えるようにしていくことが大切である。数学的表現を用いて互いに考えを伝え合い、他者が行った表現に納得することができるという、数学的コミュニケーションの実現を果たすことが教師には求められる。