5年 「平均」を振り返って(豊中)

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2023年12月16日 数学的な授業を創る会(豊中)レポート

統計的問題解決のプロセスを通して、データを根拠とし、最適解・最善解を自己決定する力を育てる学習

 現行学習指導要領において「量の測定」から「データの活用」へと領域が変更となった「測定値の平均」の実践を通して、これまでの授業をどう変えるべきかに焦点を当てた提案でした。成田翔先生(北海道教育大学附属旭川小学校)の主張は、「事象提示の仕方を工夫し、PDCAサイクルとPPDACサイクルを連携させることにより、『目的意識』を持って問題解決を図ることができる」ことでした。

 研究協議では、「問題解決のために平均を活用しようとする目的意識の醸成に、事象提示の工夫は効果的であったか」「データを根拠に、主観を加味しながら最適解を導き出すアプローチは目指すべき学びとなっていたか」の2点を議論の柱としました。成田先生のデータに込めた意図を共有するとともに、「 提示するデータの量が多すぎたのではないか」「 児童の必要感から、データを与えていくという提示の工夫もあったのではないか」「真の値に近い値を得ようとする上で、この題材は適切であったか」などの意見を基に、議論しました。

 また、最適解を求める段階における「主観」についても議論しました。「事象提示において、立場が異なる(店長なのか、店長へのアドバイザーなのか)ため、主観の働かせ方にも違いが出てくる」「あくまでもデータを根拠とした客観性あっての主観ではないか」といった意見が挙げられました。成田先生の実践を通して、客観性のあるデータを根拠として主観を働かせることがポイントであり、それこそが今回目指すべき学びの姿であったと共有することができました。

 齊藤一弥先生(ENP代表理事)からは、「概括的に捉える必要性は何か」「測定した結果を平均する方法を考察することで何を学ぶのか」「現実との乖離を認識し、最適解を追究する」の3点について御指導をいただきました。

  • 目的に応じた詳しさを重視することで、最適解を志向することにつながり、数理的な根拠・分析に支えられた合理的な判断をし、合意形成をしていくプロセスが大切であること
  • データを視覚的に表現し、吟味することで新たな問いを引き出すことと、データの分析の仕方を省察する(分析のプロセスを捉え直す)こと
  • 与えられたデータだけでは見えない、売り上げに影響する要素への関心をもたせること

 協議でも話題になった「主観(価値観) 」は「最後に自分が決めるときに使われるもの」であり、それまでは数理的な根拠に基づく合理的判断をするプロセスが大切であること、授業の最後には次につながる「問い」をつくってほしいという御指導をいただきました。