9月2日(土)数学的な授業を創る会(豊中)レポート
概括的に捉える見方・考え方を成長させる学びを目指して
今回の伴野先生の実践は、ある問題意識から折れ線グラフに数をプロットしていく中で、数をどのように丸めていくかという場面に出合わせる、概数単元の導入場面であった。目的にあった概数の表し方を考える活動を通して、概括的に捉えようとする子どもの見方・考え方を成長させていくことを企図した単元(導入)デザインが主張点である。
協議会では、目盛りを考慮してどのように点を打つと変化が捉えられるかという目的と、変化を捉えるためにグラフに表す目的という、2つの目的について意見が交わされた。前者は概数に表す目的であり、後者は事象を把握しようとする目的であり、概括的に捉える営みは、実数をまるめて概数に表すという局所的なものではなく、事象を大まかに把握しようとする大局的な働きであることが確認された。
資質・能力をベイスにすること:領域を超えた学びをいかに描くか
齊藤先生からは、今一度概数を扱うことでどのような能力の育成をねらうべきかという原点に関すること、そして「数と計算」「変化と関係」という2つの領域にまたがる内容を扱う本実践の可能性についてご示唆をいただいた。
事象を読み解くには「概括的な捉え」と「正確度を要求する捉え」の2面から迫っていく必要がある。この学習では前者を取り上げるが、それによりが重要であることを改めてご教示して大きな誤りや失敗をせずに見通しをもって取り組めること、そして批判的に考える力の育成をねらうこといただいた。
今回の実践で取り上げた折れ線グラフは、その形で傾向を捉えることができるという点で“概形”として位置づけることができ、概数を概形で表す、つまりは概数の変化の様子を捉えることを通して概括的判断が可能になる。このように、「数と計算」「変化と関係」という異なる領域を、事象の概括的把握という営みの中で関連付けることができるという点を意味付けしていただいた。学年の系統からこの実践をさらに昇華していくための視点、コンテンツありきではなく、問題解決の必要性からコンテンツを学び取るという視点についても学ぶことができた。
CSの次期改定に向けて、資質・能力ベイスの算数科の学びをどのように具体化していくかに関わって、『単元というひとまとまりをどうデザインするか』を再考する機会となった