第4学年における「分数」指導を振り返って(豊中)

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第4学年における「分数」指導

平成29年告示の学習指導要領解説算数編には、第3学年と第5学年の分数の意味と表し方について、以下のように記載されています。

  1. 具体物を3等分したものの二つ分の大きさを表す。
  2. 2/3L, 2/3mのように,測定したときの量の大きさを表す。
  3. 1を3等分したもの(単位分数である1/3)の二つ分の大きさを表す。
  4. AはBの2/3というように,Bを1としたときのAの大きさの割合を表す。
  5. 整数の除法「2÷3」の結果(商)を表す。

この内、①~③は第3学年、④と⑤は第5学年の学習内容となっています。その間の第4学年では、新たに分数の意味について、様々な捉え方は特に書かれておらず、いかなる橋渡しをしていくかが問われます。

3年生の量分数の学習から、5年生の商分数への橋渡しとして、4年生の分数学習で何に重きを置いて指導するべきかを考えました。

分数は、A「数と計算」領域に位置づいているため、その領域内での橋渡し(例:小数や除法との関係、商分数への接続)も考えられます。しかし今回の提案では、「2mを3等分した2つ分はいくつ?」という問いの下、C「変化と関係」領域として、「何を1(基準量)として見て考えるか」といった見方・考え方の橋渡しという新たな実践でした。 そこで、基準量に着目して、量の表し方を考える子ども達の姿をもとに議論を進めました。 「本授業は、学習指導要領に記述されていない内容である。4年生の学習として、是か非か」という熱き意見交流が行われました。 指導要領の扱いを超えたチャレンジングな実践提案に参会者は大きな刺激を受けた、提案・協議となりました。

協議会板書

齊藤先生からは、本授業の価値を再度問い返していただき、割合の素地指導としての分数の学習について、4年生の分数の学習では何を橋渡しとして扱うのかについて、今回提案の教材をもとに御指導いただきました。4年生の段階では、形式での表現はできないが、「基準量(1)を決めて、比較量がどれだけにあたるのか?」といった比例関係を前提とした乗法的関係を、数直線をもとに表現することの大切さを教えていただきました。改めて教材の持つ本質を指導する私たちが理解して学習指導にあたることが大切であることを実感しました。

齊藤先生より

参加者の感想より(一部抜粋)

  • 自分もどう指導するか悩んだので、参考になりました。何を1と見るかを何度も問い返す、5年につなぐために3年、4年とどう見方を育てていくか、一緒に考えられたことよかったです。
  • 授業の導入では1mより長いと予想できていても、3分の2mと捉える子どもの姿に分数の難しさを感じました。齊藤先生のお話からは、数直線で表しながら割合は足すものではなく乗法であるという説明に多くの学びがありました。基準量、割合、比較量の関係がとても分かりやすくかったです。
  • 最初提案を見たとき、前回の3年との違いや5年生の内容かと思ったのですが、「数と計算」領域としてではなく、「変化と関係」領域として捉えると、大きな橋渡しだなと感嘆しました。4年の簡単な割合として扱うことができるのだと勉強になりました。
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